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喧騒を離れ 心身を癒す旅へ 「隠れ里」矢代の魅力

自然は私たちの健康にとって重要な要素なんですね。 近年の研究では自然の風景に触れることで術後の入院期間が短くなったり、森林で過ごすことでストレスホルモンが少なくなり、緊張や疲労が緩和されるといった研究結果が出ているそうです。 ならば、自然の力を借りない手はありません!人混みを避け、静かに過ごせる場所をお探しのあなたに地元ライターおすすめの穴場スポット「矢代(やしろ)」をご紹介します!

海と森に抱かれた、福井県小浜市の小さな漁村「矢代」

わずか17世帯ほどのこの集落は、密集した住宅や寺社が、北面をきらめく、残りの三方を深い森に囲まれており、まさに「隠れ里」という言葉がふさわしい神秘的な景観を保っています。ここは、人工的な音が届かず、波の音と鳥のさえずりだけが聞こえる、都会の喧騒とは無縁の世界です。

💫持続可能性への挑戦:廃村の危機から未来へ

矢代はかつて、石灰石の採掘で栄えた地域でした。しかし、今では少子高齢化により廃村の危機という厳しい現実に直面しています。

ですが、住民の方々は故郷を後世に残したいという強い思いを持ち、外部からの協力者と共に、この集落の新たな持続可能性を見出すための活動を少しずつ動かし始めています。この「隠れ里」は、単なる過去の風景ではなく、未来へと続く希望を秘めた場所へと変わりつつあるのです。

そんな小浜市矢代の魅力についてご紹介します!

家族連れに最適!穏やかな「矢代海水浴場」

まず始めに紹介するのは「矢代海水浴場」です。

波が穏やかで家族連れに最適。周囲の森に囲まれたプライベート感のある空間で、ゆったりとした気分で海を楽しめます。シャワー、更衣室、トイレを完備しています。

海水浴や釣りの利用者は車一台につき1,000円清掃協力金が必要になります。(民宿利用者は不要)

1960年頃までは矢代にたくさんの海水浴客が来場しており、その頃には民宿が17件もあったそうです。今も看板がそのまま残っており、その面影を感じることができますよ。

奥の水深が深いところは藻や岩がいっぱいあって海底を見ているだけで冒険している気分になりますよ!

SUP(サップ)で絶景の海上散歩へ!

矢代の海は、波が穏やかで透明度が高いため、SUP(スタンドアップパドルボード)を楽しむのに最適な環境です。初心者から経験者まで、誰もが水面をゆったりと楽しむことができます。SUPに寝転がって海に漂うだけで、広大な自然を感じて悩み事がどうでもよく感じますよ(笑)

陸路からはアクセスできない無人浜や神秘的な洞窟があるのでSUPでぜひ探検してみてください!

SUP Village Yashiro

また、SUP Village YashiroではSUPツアー・レンタルサービスを運営されています。SUPを持っていない人でも気軽にSUPを体験できます。体験予約は公式HPからすることができます。

SUP Village Yashiroを運営されている佐藤さん

小浜市出身の佐藤善一さんは、公務員を早期退職後、地元を盛り上げるために幅広く活動されています。公務員時代には小浜市の地域活性にも取り組み、仕事の傍ら、湾内で波が比較的穏やかな矢代でSUPを楽しんでいました。

矢代の方々が「ウェルカムな雰囲気でいつも気さくに話しかけてくれる」と感じた佐藤さんは、矢代の住人との交流を深めました。

そして、矢代で民宿「こまや」を営む住人の栗駒正一さんを通じて矢代観光協会の協力を得て、2019年から「SUP Village Yashiro」として、ツアーやレンタルのサービスをスタートされました。

変化に富んだ湾で楽しむ「釣り」

矢代の海辺は西側が漁港になっており、釣りスポットとして年中多くの釣り客が訪れます。初めて海釣りをする方や、ご家族連れにもおすすめできる、静かで釣りやすい漁港です。また、車で堤防の根元近くまで行けるので荷物の移動がラクに行えるのもうれしいポイントです。

私の場合、ロケーションがいいので釣れなくても気持ちが安らいで満足して毎回帰れます。(笑)

初心者におすすめなのは、アジやイワシといった小魚をたくさん釣る「サビキ釣り」です。

カゴに入れたエサ(アミエビなど)を海中で撒き、そのエサに集まってきた魚を、エサに似せた針がたくさんついた仕掛けで狙う、とても簡単な釣り方です。魚が群れでいる時期には、一度に何匹も釣れることがあり、初心者の方でも「釣れた!」という感動を味わいやすいでしょう。

サビキ釣りで狙うアジの他にも、季節によってはイカを狙う「エギング」も楽しめますし、堤防の足元近くの水深がある場所では、煮付けにして美味しいメバルやカサゴといった「根魚(ねざかな)」を狙うこともできます。

◼︎注意事項◼︎

釣りを楽しむ際は、危険防止の注意事項を理解し、十分な装備をお願いします。
釣り人みんなでマナーを守って、未来に釣り場を残していきましょう。

危険防止の対策

  • ライフジャケットの着用
  • 立ち入り禁止区域への進入禁止
  • 単独行動を避ける
  • 滑りにくい靴を履く
  • 周囲の安全を確認する
  • 天候と潮位を確認する

お問合せ:矢代観光協会 090-7745-0214

自由を味わえるカヤックフィッシング

矢代では地元の漁師さんの理解もあり、カヤックの出航しやすい環境が整備されています。また、カヤックのレンタルも行っているため、カヤックフィッシングを気軽に楽しむことができます。

カヤックフィッシングは釣り船や岸からの釣りとは一味違う、自然との一体感が魅力です。また、エンジンではなくパドルで漕いで移動するため、静かに水面を進むことができ、魚に警戒心を与えずにポイントへ近づけますし、混雑を避けた場所で自分だけの釣りを満喫できます。

私も何度かカヤックフィッシングをさせてもらいましたが、カヤックに乗っていると海や空の表情をいつもより繊細に感じるんですよね。毎回違った自然を感じることができて、とても楽しいですよ!

海だけじゃない!矢代の散策ポイントの紹介

この集落には、長い年月をかけて育まれた古い歴史が息づいています。また、かつて人々の暮らしを支え、地域の営みに欠かせなかった昔ながらの設備が、当時の姿をほぼそのままの形で残し、今も静かにたたずんでいます。

そんな矢代の散策ポイントをいくつかご紹介します。

①矢代観音堂 福寿寺

およそ1200年前に矢代に流れ着いた唐船を解体して本堂は建てられたそうです。また、唐船が流れ着いたことを由来とする、現在では行われていない手杵まつりの資料の展示がされています。

この小さな集落では、奈良時代から始まる歴史が途切れることなく脈々と受け継がれているのです。昔の住人たちの後世に思いを残す強い意志を感じます。

~矢代に伝わる伝説:源頼政と鵺(ぬえ)退治~

永暦元年(今からおよそ900年前)、京都で源頼政が恐ろしい怪物、を退治したという伝説が残されています。その勇ましい様子を描いた絵も、現在展示されています。

この鵺退治の際に使われた矢は、この集落の山鳥の羽を使って作られたと伝えられています。その矢にちなんで、この地は矢代と呼ばれるようになったそうです。

②加茂神社

以前まで行われていた手杵まつりでは加茂神社の境内も使われていました。

苔の生い茂る石垣と長年の雨風に耐え抜いた本殿の古色から、矢代の人々の願いの場となっていた過去の情景が思い浮かびます。

③海沿いのベンチ

海沿いにベンチが設置してあります。天気が良ければ映え写真が撮れるかも?カップルの記念撮影にもいいかもしれませんね!

④石灯ろう

大きな石灯ろうがあります。お正月やお参りの際に使われるそうです。また、近くにはきれいなもみじがありました!川のせせらぎも聴こえてくるので、この辺りはとても気持ちが安らぎますよ。

⑤村の清水池

上水道が整備される以前は、この湧き水が村の人々にとって貴重な生活用水源でした。住民の方に聞くと、子供の頃にはこの冷たい湧き水でスイカを冷やしたりしていたそうです。他にもいろんな思い出話を聞かせてくださりました!矢代は人と話すのが好きな人が多いと感じました。聞けば快くなんでも教えてくれますよ。

⑥ちから石

明治時代のころから矢代の若者が力試しに持ち上げていました。

力石を持ち上げるイベントがあれば面白そうですよね!開催されることを願って筋トレに励みたいと思います。

⑦二宮金次郎の石像

最近ではあまり見かけなくなった二宮金次郎の像が建っています。昔あった小学校の名残だそうです。小学生の頃、私の通っていた小学校にもあったので懐かしい気持ちになりました。(笑)

⑧気圧計

昔の漁師たちは、この気圧計でその日の天気を予想し、漁に出るかの判断をしていました。今では壊れて、針は動かなくなってしまいました。

昔の住人の生活を感じられる、漁村ならではのポイントですね。

⑨六体地蔵

お地蔵様が6体並んでいます。以前は漁港付近に並んでいました。土砂が流れてきたため、移動されたそうです。

村の人が常日頃、お地蔵様や観音様のお手入れをされています。お供え物もされています。見ていてとても気持ちいいですね。

番外編:きれいな星空⭐

矢代は街の明かりが少ないため、空が澄んでいる日には星が大変きれいに見えることも魅力の一つです。

R7.11.11の矢代の空
今回紹介した散策ポイントの位置

人情味あふれる!旅の疲れを癒す宿泊施設

現在矢代では2件の民宿が営業されています。1軒ずつご紹介します。

民宿きしの

女将さんが営んでおられるアットホームな民宿です。新鮮な海の幸を堪能することができます。

民宿こまや

とても気さくなおじちゃんが営んでおられます。海を一望できるテラスで海鮮BBQを楽しめます。

どちらも、情に厚い方が営んでおられます。こまやさんもきしのさんも村の中で偶然お会いした時に、外から来たような私にも楽しく話しかけてくれます。

囲炉裏でくつろげる!シェアスペース「Nomichi Port Yashiro」

海から歩いて30秒程度の場所に会員制のシェアスペースが2025年誕生しました!温水の出るシャワーブースも完備してあるので、釣りやマリンアクティビティ前後の休憩スペースとして利用できます。囲炉裏を仲間と囲んで親睦を深めたり、キッチンも借りることができるので様々な用途に使用できます。

囲炉裏と木の香りでとっても落ち着きますよ。遊び疲れた後だと動きたくなくなります。(笑)

心身を癒す矢代の旅:単なる観光地ではない未来への希望

そんな魅力あふれる矢代ですが、残念ながら多くの海ごみが流れ着くという現実があります。

矢代では、この課題に対し、そうした海ごみを再利用する活動が実施されています。さらに、SUP体験や休憩施設として紹介した「Nomichi Port Yashiro」の空間を活かし、海ごみ問題に関する実践的な研修様々な企業や団体に対して行う取り組みも進められています。

海洋プラのリサイクル施設があります。
海ごみを活用したサインが公衆トイレに設置してあります。

このように、矢代では観光地の枠組みを超え環境保全と持続可能性(サステナビリティ)への挑戦を続けておられます。

いかがでしたか?矢代の海でのSUPカヤックフィッシング、そして釣りといったアクティビティは、あなたに非日常の解放感をもたらしてくれるのではないでしょうか。また、小さな漁村を巡ることで、矢代の歴史昔ながらの生活の営みを肌で感じられます。この散策は、忙しい日常から離れた心の休息となるはずです。

ぜひ、自然豊かな漁村「矢代」に行ってみてください!

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著者:hikihara

2025年4月に京都から小浜市に移住してきました。 自ら体感した小浜の魅力をお届けしていきます。

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