蓮池輪宝沈金経箱
この経箱は黒漆地に沈金の文様が施された被せ蓋式の二段箱で、大きさは縦35.6㎝、横22.2㎝、高さ14.8㎝です。経箱は本来、経典を納めるための箱であり、その装飾には仏教に因んだ図柄がよく用いられます。 この経箱は室町時代に日本で作られましたが、蓋表に見られる蓮華荷葉(蓮の咲く池)や流水、湧雲には中国の絵画様式が多分に取り入れられています。これは、中国の宋・元代(10~14世紀)に流行した沈金(中国では鎗金と呼ばれる)技法が用いられているためで、この技法が日本に伝わり、和様化されはじめた頃の作と考えられます。沈金とは、塗り重ねた漆の表面に刀で線状の文様を彫り、その線の中に金箔や金粉を漆で擦り込んで図柄を表す技法であり、この時代の作例はきわめて珍しいとされています。 この経箱に納められていた経巻は、同寺の『當山宝蔵什物下書』によれば「金(紺)紙金泥折本 壱部(八巻)書写主浄行院日俊、但シ箱ハ蓮乃平蒔ニ而 掛子二ツ」と記されています。これは、同寺に伝来する寛永7年(1630)日俊書写の法華経奥書に符合することから、江戸初期にはこの経巻が納められていたことがうかがえます。 この経箱は、長い年月を経て漆の色はくすんでいますが、蓋の陰にかくれた輪宝(法具)文様の沈金線は今なお輝きを失わず、当初の美しかった意匠を彷彿とさせます。 管理者:長源寺
基本情報
| 種別 | 工芸品 |
|---|---|
| 指定区分 | 市 |
| 文化財名 | 蓮池輪宝沈金経箱 |
| 員数 | 1合 |
| 時代 | 室町前期 |
| 指定日 | 1984年2月17日 |
| 地区 | 小浜 |
| 法量 | 縦35.6㎝ 横22.2㎝ 高14.8㎝ |
| 一般公開 | 非公開 |