「吉野」に勝るとも劣らぬ白銀の輝き。 京都の和菓子を支えた「若狭の葛」の秘密と名店巡り
更新日:2026/05/18
涼やかな葛切り、つるりとした葛まんじゅう。
和菓子に欠かせない素材「葛」と聞くと、多くの人が奈良・吉野を思い浮かべるかもしれません。
しかし実は、京都の老舗和菓子店に長年愛されてきた「葛(くず)」があります。
それが、若狭に伝わる「熊川葛(くまがわくず)」です。
「熊川葛」は日本三大葛の一つに数えられています。
鯖街道を通じて京都へ運ばれ、職人たちに選ばれ続けてきた若狭の葛。
その魅力をたどりながら、小浜で味わえる名店もご紹介します。
Table of Contents
なぜ今、若狭の葛なのか?
近年、食文化や地域の歴史に注目が集まる中で、若狭と京都を結ぶ「食のつながり」も改めて見直されています。
ドラマ「サバ缶、宇宙へ行く」でも葛が印象的に登場する場面があり、「和菓子を支える素材」への関心が高まっています。
その中で、静かに注目を集めているのが若狭地域の「熊川葛」です。
実は京都の高級和菓子店では、昔から若狭産の葛が重宝されてきました。
表舞台に立つことは少なくても、和菓子の味わいを支える存在として、職人たちに選ばれ続けてきたのです。
「吉野葛」と「熊川葛」は何が違うのか?
鯖街道がつないだ、京都との深い関係

若狭と京都を結ぶ「鯖街道」。
海産物を運ぶ道として知られていますが、実は葛もまたこの道を通って京へ届けられていました。
小浜から京都へは距離が近く、質の良い葛を新鮮な状態で運ぶことができたといわれています。
京都の和菓子文化を支えてきた背景には、こうした若狭との深い交流がありました。
名水が生む、透き通る美しさ

熊川葛の特徴は、何といってもその透明感。
その美しさを支えているのが、若狭の豊かな水です。
良質な葛根を丁寧にさらし、不純物を取り除くことで、澄んだ白さと透明感が生まれます。
「粘り」の吉野葛、「口溶け」の熊川葛
一般的に吉野葛は、しっかりとした粘りやコシが特徴とされています。
一方、熊川葛は、すっと消えるような繊細な口溶けが魅力。
口に入れた瞬間のなめらかさと、儚くほどける余韻は、若狭の水と技が生み出す味わいです。
熊川葛の魅力を味わえる、小浜の名店へ
伊勢屋

小浜の夏を代表する和菓子として親しまれているのが、伊勢屋の「葛まんじゅう」。
透き通った葛生地から、上品な餡がほんのり透ける姿は、見た目にも涼やかです。
「向こう側が透けて見えるほど」ともいわれる透明感は、熊川葛ならでは。
冷やしていただけば、より一層なめらかな口当たりを楽しめます。
木屋傳

伝統の葛を、現代にも親しみやすく届けているのが木屋傳です。
看板商品のひとつが、葛を使った「葛ようかん」。
一般的な羊羹とは異なり、葛ならではのなめらかさと、みずみずしい口当たりが特徴です。
口に含むと、ぷるんとした食感のあとに、すっと消えていくような軽やかな余韻。
葛の透明感と、上品な甘さが調和した一品です。
冷やしていただくことで、より一層、若狭の涼を感じられる小浜らしい和菓子です。
志保重

小浜で長く親しまれてきた老舗和菓子店・志保重では、葛を使った「葛バー」が人気を集めています。
葛ならではのもっちり感を生かした新感覚の冷菓で、凍らせても固くなりすぎず、しゃりっとした食感とやさしい口当たりが楽しめるのが特徴です。
味のバリエーションも豊富で、フルーツ系から和の素材を使ったものまで幅広く展開。
見た目もカラフルで、食べ歩きスイーツとしても人気を集めています。
伝統的な葛文化を、気軽に・楽しく味わえる一品。
暑い季節の小浜散策のお供にもぴったりです。
和菓子文化を支えてきた若狭の葛

京都の和菓子文化を支えてきた、若狭の熊川葛。
その一口には、鯖街道の歴史、若狭の名水、そして職人たちの技が詰まっています。
小浜を訪れた際は、ぜひ「透明感を味わう和菓子」を楽しんでみてください。